Report2023.11.16

愛知県の至学館大学にて、アスレティックトレーナーを目指す学生に向けて生理セミナーを開催

Bé-A〈ベア〉は、2023年11月6日(月)に、愛知県にある至学館大学にてアスレティックトレーナー*を目指す学生を中心とした104名(男59名、女45名)に向け生理セミナーを開催しました。
今回のセミナーは、かつて走り高跳び競技者としてシドニー五輪や世界選手権などでご活躍された、至学館大学体育科学科の教員である今井美希先生のご協力により実現しました。
男女ともに生理を正しく学び、アスレティックトレーナーとして持っておきたい知識を身につけることで、将来の夢へと繋げていくことができたならこの上ない喜びです。
*スポーツ選手の健康管理やケガ予防、救急処置、リハビリなど、医療に関わる高度なケアを行い、医療とスポーツをつなぐ職業

“生理との上手な付き合い方を学ぶこと”が男女ともに生きやすい社会へ

生理と向き合いながら最大限の力を発揮することは並大抵のことではありません。競技力の向上のため、ハードなトレーニングや食事等の制限による「無月経」もまた、女性アスリートの多くが経験するといわれています。
無月経が、骨強度や妊孕性(妊娠のしやすさ)の低下など将来さまざまなリスクを伴うことは、アスリートが自らの長い人生を見据えて知っておくべき大切な問題であり、そのためには周囲の理解やサポートが必要です。
アスレティックトレーナーを目指す上で、生理への理解は欠かせないもの。Be-A Japanでは、女性自身が生理を正しく理解し、上手な付き合い方を学ぶことの大切さを広く伝えるとともに、ともに生きる男性にも生理を正しく知ってもらうことで、誰もが生きやすい社会を実現できると考えています。

■セミナーの様子
セミナーは3部構成で実施

①「生理の基礎知識」〜知っておきたい生理の基本とスポーツと生理の関係〜
女性アスリートのなかで特に問題になっていることの一つ「無月経」。生理が止まってしまうことは、骨粗鬆症を起こしやすくなる他、不妊の原因にもなり得ること、そして現役引退後の健康にまで大きく影響することなどをお伝えしました。

②ワークショップ
ナプキンやタンポンなどの生理用品、また、吸水ショーツも実際に手に取っていただきながらワークショップ形式で生理用品の最新事情をご紹介しました。

③グループディスカッション
アスレティックトレーナー、またスポーツに関わる指導者になった自分を想像し、3つの場面をお題にしたグループディスカッションを実施しました。

1つ目の場面は『突然生理になってしまった生徒・選手への対応』
「練習前に選手(生徒)が伝えてきた場合には、本人がどうしたいのかを尊重し、どのくらいなら動けそうかを相談する」という意見や、「常に生理用品を準備しておいて、渡せるようにする」という意見があがりました。
突然生理になってしまって本人が気づいていない時は、そっと教えてあげることも優しさ。恥ずかしいと思う気持ちを抱かせないのも大切であるということもアドバイスしました。

2つ目の場面は『生理なので練習を休みたいと頻繁に申し出る生徒への対応』
「どうしたら休まずに参加できるかを一緒に話し合って、生徒に負担のない方法を見出す」という声があがりました。
相手に寄り添ってあげる優しさこそが、生理への理解を深める第一歩かもしれないと、学びのある意見交換となりました。

3つ目の場面は『生理について伝えやすい環境を作るために、チーム内でどんな声をかけるか、どんな行動をするか』
「(新入部員などが入ったタイミングの)4月の時点で、生理の知識について男女問わず共有する場を設ける。そして、チーム内で共通の理解をもっておくことが大事なのではないか」
「日頃からコミュニケーションをとって、生徒との関係性をよくして相談しやすい環境を作ることも大切」などの意見や、「週に数回、練習前にコンディション確認のための面談の時間を設ける」といったアスレティックトレーナーを目指す学生ならではの意見も多く見受けられました。

■参加生徒からの声

・生理という知識をもっと深めなければならないし、たくさんの人に伝えれるようになりたいと思いました。決して、女性だけの問題だけではないと感じました。(男性)

・私は普段生理痛があまりなくて、初潮がきてからは生理痛が酷い人の感覚が分かりませんでした。でも、自分が生理不順になって生理の量が増えた時にやっと生理痛が酷い人の気持ちやしんどさが理解できました。その時に、人によってほんとに違うんだなと思ったし、あまり良いことでは無いけれど、それを経験できてよかったとすごく思いました。 このような講義をもっと色んなところで、もっと早い段階からやってもらえたらいいなととても思います。(女性)

・女性の生理はセンシティブな内容で触れづらいものであると思っていたが、女性で知って欲しいと思っている人が多い事がわかったので、生理を少しでも理解し、配慮やサポートしてあげたいと思った。(男性)

一ヶ月の中で生理が繰り返し起きてるのにも関わらず毎日人とコミュニケーションを取ったりと女性の凄さを改めて思った。女性に思いやる気持ちをこれから強く思って生活していきたい。(男性)

普段生理用品に触れることの無い男子生徒が恥ずかしさがありながらも興味を持ってこの講義に参加していたこと。 女子からしたらこの問題はどうなの?と積極的に意見を聞いていて、何も気を使わず生理に関する話ができることは素敵だと思った。(女性)

『スポーツに携わる上で、男女の身体の仕組みの違い、また女性の生理を知ることは大切だと思いますか』という質問に対しては、セミナー実施前“とても思う”が59%に対し、セミナー実施後は92.6%の学生が『大切である』と回答しました。
将来、心身の健康を支えるアスレティックトレーナーとして、子どもたちの心身を育む教育者として、性別問わず生理を正しく知り、互い理解することで社会全体を変えていける、という学生の皆さんの意志を感じることができました。