Report2024.03.27
福島県川俣町と福島信用金庫の地域創生コラボ事業として、県立川俣高等学校にて、男女生徒に向け生理セミナーを開催
GBAプロジェクの一貫として、2024年3月15日(金)に、福島県立川俣高等学校の1・2年生の男女生徒に向け「考えよう!未来につながる体のこと」をテーマに生理セミナーを開催しました。
福島県川俣町では、住民一人ひとりの多様性が尊重される、誰もが幸せに暮らせるまちづくりを目指し、男女共同参画の推進に取り組まれています。
今回のセミナーは、川俣町と福島信用金庫の地域創生コラボ事業として、自治体からのお声がけにて実現。生理の知識を深めるとともに、3月8日の「国際女性デー」にちなんで「ジェンダーギャップ」についてもお話ししました。
近年の国際社会において注目を集める「ジェンダーギャップ指数(性別の違いによって生まれる様々な格差を数値化したもの)」。2023年の指数において、日本は146カ国中125位。残念ながら前年よりもさらに順位を落とし、先進国では最下位です。
男性だから女性だから、と区別することで起こる不利益について学び、男女格差解消のためにどんなことができるか自ら考え会話を交わす体験となりました。
■セミナーの様子
セミナーは3部構成で実施
①生理とは?女性の体に起こる変化や、生理の基礎知識
セミナーは、生理についての経験や知識の差を踏まえ、まずは男子生徒と女子生徒に分かれて実施。女性の体のメカニズムや、生理についての基礎知識、身体と心に起こる変化についてお伝えしました。
生理があっても、なくても、「正しい知識」を身につけておくことで、「相手に寄り添う気持ち」が生まれ、無意識に相手を傷つけることが少ない社会へつながること、ひいては誰もが生きやすい社会を実現できると考えています。
②ワークショップ
ナプキンとタンポンを実際に手に取りながらワークショップ形式でご紹介しました。
女子生徒の中には、タンポンを触るのが初めての生徒もおり、水を含んだ時の膨らみ方や装着のしかた、どんな時に使うと便利なのかをお伝えし、数ある選択肢の中から自分に合ったものを選ぶことが大切であるとお伝えしました。
男子生徒には、恐る恐る吸水させ、どんな肌触りなのか手で触れてみる場面もみられました。自分に起きることのない生理について、生理用品に触れてみることで、不便さや苦労などへの想像力を働かせられることが、理解への一歩だと考えます。
③グループディスカッション
テーマにそって数人のグループごとに意見交換を実施。男女合同で、2つの場面をお題にしたグループディスカッションを実施しました。
1つ目の場面は、『街で歩く女性のスカートに赤いしみがついているのを見かけたら?』
男子生徒からは「気付いた時に、女性にタオルか何かをかけてあげる」、「メッセージをスマホに書いて見せる」という高校生ならではの新しい視点の意見が上がりました。
一方、「自分だったらそうして欲しいから、すぐに伝えてあげる」という女子生徒からの意見には、男子生徒がうなずく様子も。
2つ目の場面は『これってジェンダーギャップ?と思うこと』
女子生徒からは、「女の子だから女の子らしい格好をしなさい、と言われるのは違和感を覚える」との意見がありました。一方の男子生徒からは、「女性専用車両はあるのに、男性専用車両はない。痴漢の冤罪などの例もあり、男性だけの車両の方が安心して乗車できるから男性専用もあるといいと思う」と日常で感じる不平等感を発表しました。
ディスカッションでは正解や不正解を問うのではなく、お互いの考えを交換し合うこと、様々な考えがあることを知ることが、相互理解への一歩になると考えます。
ジェンダーギャップについて自分ごととして捉え、身近な問題に落とし込みながら発信する姿に、大人も考えさせられる機会となりました。
■参加生徒からの声
・個人差があることは知っていたが、人によってはかなりの量が出ることがわかった。彼女がつらそうな時はもっと優しくしようと思いました。(高校生男子)
・人によって血の量が違うのと、学生だと授業の休みの時間の間に変えなきゃいけないのを初めて知りました。生理のことを少ししか知っていなかったので、今回の説明を聞いてもっとふかめることができてわかりやすかったです。(高校生男子)
・昔に比べて、女性の生理回数が増えていること。少子化がこういう形で表れていておどろいた。(高校生男子)
・今日は生理について考え方が変わったので、生理を和らげる方法などを、見つけていきたいと思いました。(高校生女子)
・(PMS、生理期間、排卵日などを合算すると)普通に過ごせる期間が1週間しかないこと、生理痛の薬を服用する年齢があることが印象に残った。生理は辛いし嫌だけど、それも楽しめる生活にしていきたいと思った。(高校生女子)
性別を基準に男女の役割を考えることや性差による偏見は、個人を傷つけたり差別につながり、ときとして将来の生き方にも影響を与えることがあります。
「ジェンダー平等」という少し難しく聞こえるかもしれない問題を「生理」という観点から伝えた今回、真剣な眼差しで聞く学生の姿が印象的でした。
誰もが公平に生きていける社会を実現するために、必要なのは「正しい知識」を得た上での「寄り添う気持ち」ではないでしょうか。
GBAは、これからもGirls Be Ambitious の想いを乗せて、生理セミナーを続けてまいります。
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