Report2024.08.30
9月1日は防災の日。親子で「生理と防災」について考える。東京臨海広域防災公園にて、生理セミナーを開催
GBAプロジェクトの一貫として、2024年8月21日(木)に小学生とその保護者に向けて、「生理と防災」をテーマにした生理セミナーを実施しました。9月1日の「防災の日」を前に開催された本セミナーは、災害発生時には首都圏広域の現地対策本部として機能する「東京臨海広域防災公園」内の防災学習施設にて行われました。
GBAを運営するBé-A〈ベア〉が実施したアンケート*によると99.4%の方が「災害避難時に生理が重なった場合、不安を感じる」と回答。
日常生活でさえも、「漏れてしまわないか」「取り替えるタイミングはいつか」と、多くの女性や子どもたちが不安や悩みを抱えながら生理期間を過ごしている中、災害時の混乱や、避難生活といったさらに不便な環境下で、生理が重なってしまうことによる心身のストレスは、想像を超えるものです。
いざ、自分や家族がその状況に立たされた時に、少しでも不安を取り除くためには、まずは「正しい知識」を持つことがとても重要であると考えます。
そこで、9月1日『防災の日』に先駆け、夏休み中の子どもたちと保護者を対象に『生理×防災』をテーマにした、生理セミナーを開催するに至りました。
■セミナーの様子
1.そもそも生理ってどんなもの?
まず、女性の体と生理についての基礎知識、生理期間を含めた1ヶ月の身体と心について、小学生に合わせた言葉で分かりやすくお伝えしました。
生理は100人いれば100通り。自分とお母さん、姉妹、友達…人によって経血の量や痛みの度合いはそれぞれ違い、お互いを理解することの重要性をお伝えすると、親子で向き合って話す場面も。
また、これまでたくさんの方のお話を聞いてきた中村からは、こんなエピソードもご紹介。
「重い生理痛を訴えるお子さんに、生理が軽いお母さんが、“そのくらい大丈夫よ!頑張りなさい!”と言ったことで、“どうせわかってもらえない”という気持ちから、以後お子さまが相談しづらくなった、ということはよく起こります。“自分がこうだから相手もそうだろう”という思い込みは、時に人を傷つけてしまうことも。どんな時も、相手に寄り添った声がけができると、お互いに気持ちよく過ごせますね。」
また、生理期間前のおりものの変化についてや、PMS(月経前症候群)や排卵痛などにより不調があらわれる場合もあることを伝えると、驚いた表情を見せる子もいました。
「親子であっても、生理やおりものがどんな状態であるか、知ることはできないから、こんな異常や違和感があったらそのままにしないで身近な大人に相談するように」と具体的な事例についてもお伝えしました。
2.生理用品って何がある?~女性が毎月使う生理用品事情~
ナプキンなどの生理用品を実際に手に取りながら吸水実験を実施しました。
ナプキンにぐんぐん吸水されていくのを目の当たりにし、生理を迎えている子もいない子も、“どこに吸収されているのだろう”と、不思議そうに見たり触ったりする場面も。
また、実生活でなかなか教わることの少ない「交換頻度」や「ナプキンの捨て方」もご紹介し、学校や自宅で困ることのないよう、丁寧にお伝えしました。
3.防災時の生理について考えてみよう
防災の日である9月1に向けて、今回は「生理×防災」をテーマに、親子で考えました。
災害大国である日本に住む私たちにとって、いざという時に落ち着いて行動できるように、災害時の生理の対応について考え、準備をしておくことはとても重要なこと。その上で、2つのテーマに沿って親子でディスカッションを実施しました。
〈初めて生理になったとき、学校でナプキンがなかったらどうする?〉という議題については、一番多かったのが、
・保健室に行って先生に聞いてみる
という意見でした。
大人は冷静に対応できることも、初めての生理を迎えた子どもは、想定外のことに慌ててしまうことも。親子で事前にシミュレーションをしておくことで、いざという時もあわてず行動ができます。
『まずはお手洗いに行って、たたんだトイレットペーパーをショーツに当てて、そのまま過ごさず、すぐに保健室へ行く』と、行動の流れを順を追って話し合いました。
〈災害に備えて、生理のためにお家でどんな準備をしておきたい?〉という議題については、
・水があるかないかによっても必要なものは変わってきそう。吸水ショーツとナプキン、どちらもあると安心できると思う
という意見が上がりました。
登壇した中村からは、いつ、どこで、被災するかわからないからこそ、親子で確認しながら事前の準備をしておくことの大切さを共有し、「薬にすぐアクセスできるかはわからないから、痛み止めも備えておくことも良いですね」と加えました。
セミナーの後は、東京臨海広域防災公園が主催する、地震発生から避難までを体験できる『東京直下72h TOUR』にも全員で参加しました。
震度7の揺れの様子、被災時の歩き方、簡易ライトの作り方、止血方法など、被災時にとるべき行動や注意点などを確認ができ、いざというときの知識とこころの備えをしながら、親子で『防災と生理』について考える時間となりました。
■参加者のお声(セミナー後のアンケート回答一部抜粋)
「人によって違いがあることを知れてよかった。今はナプキン以外もせんたくしがあることを知れてよかった。」(5年生、女の子)
「きょうみを持ったことは、月に1回必ずくるということです。毎月きたらたいへんだと思いました。地しんの時のことを考えたことがなかったので今どからは気をつけるようにしようと思います。」(4年生、女の子)
「災害時にナプキンとサニタリーショーツどっちも必要(準備)だということがわかったので、今のうちに準備しておきたいです。」(6年生、女の子)
「生理中の痛みやコンディション等、あまり考えたことがなかったのですが、親子の会話を増やしたいと思いました」(6年生、4年生の女の子を持つ保護者)
「吸水実験のワークショップで実際に手を動かし、リアルに感じてもらえたように感じます。ナプキンの捨て方、経血がついた時の洗い方などきちんと教えていただいたありがたい機会でした。」(5年生の女の子を持つ保護者)
長く付き合っていく「生理」は、確かに不便さを伴いますが、からだにとって大切なもの。一人ひとりの違いや対処方法を知り、個々に悩みを抱えずに過ごしてほしいと願っています。
セミナーは、“静かに受講せず保護者と会話をしてOK”と進めました。知識に加え、“生理は隠さずに身近な人と話しても良いもの“と、経験を通して知ってほしいという意図もあります。生理や防災のことを、家庭内でも隔たりなく話していける関係が築かれ、子どもたちの心身の健やかな成長につながりましたらこの上ない喜びです。
防災の日をきっかけに、非常時(災害時)に、生理のある女性はどんなことを不安や困難に思うのか、そして自分の身を守るために何ができるのかを、未来を担う子どもたち、保護者の方々と共に考える貴重な機会ともなりました。
ご参加くださいました皆さまありがとうございました。
GBAは、これからもGirls Be Ambitious の想いを乗せて、生理セミナーを続けてまいります。