Report2024.07.29

GBA × 集英社ウェブメディア「yoi」コラボ企画、生理セミナー「yoiの読者と考える、女性の健康課題をとりまく社会問題」を開催

GBAプロジェクトの一貫として、2024年7月11日(木)に集英社のウェブメディア「yoi」の読者8名に対し、生理セミナー「yoiの読者と考える、女性の健康課題をとりまく社会問題」を実施いたしました。

「yoi」は、集英社の若手編集者の発案により生まれた、心・体・性のウェルネスを提案するウェブメディア。女性の心と体に寄り添い、メンタルヘルスや女性の健康、SDGs、ジェンダーなどのトピック、ウェルネス視点にこだわったファッションや美容の記事など、幅広いコンテンツを発信しています。

“知識不足”によって生まれる異性間・世代間・同性間の分断をなくし、相互理解を進めていくことを目指す「yoi」と、生理というテーマを通して性やジェンダーについて考え、多様な人のあり方について理解を深めるきっかけを作りたいと考える「GBA」。両者の想いによって、今回の生理セミナーが実現しました。

■セミナーの様子
1.生理の基礎知識
―100年前と比べて生理の回数は9倍にー

「生涯経験する生理の回数は、100年前は約50回だったのに対し現在は約450回、9倍です。栄養状態の変化もですが、出産回数が減ったことが大きな理由です。」
生理は、社会や環境の変化とも関係していることをお伝えしました。
また、生理の基礎知識に加えて、
〈経血に含まれる血液の量と、その個人差〉
〈健康のバロメーターである”おりもの”〉
〈体調不良と女性の鉄不足の実態について〉
〈生理痛が起こるメカニズムと痛み止めの種類〉
〈PMSや排卵通など、生理以外の体調について〉
等、さまざまなトピックスについて触れました。参加者は生理の扱いにも十分に慣れている世代ですが、真剣にメモをとりながら耳を傾け、時に驚いた表情も見られました。

2.生理用品の選択肢と海外事情
―日本とアメリカ、最新のサニタリー情報!―

ここ数年で生理用品は、ナプキンやタンポン以外に月経カップなど様々な選択肢が増えました。
Bé-A〈ベア〉の代名詞とも言える「ベア シグネチャー ショーツ」の吸水量、ぬくもり設計などのこだわりについてお伝えすると、参加者からは「すごい!」との声があがりました。

アメリカの生理用品にも興味津々。カラフルなパッケージのナプキン、すべてプラントベースでできているエコなタンポン、多い日用・軽い日用などの表記が体の大きさに合わせたチャートで記載されているなど、日本とは違う点はいくつもあります。
アプリケーターがなく指で挿入するタンポン、尿もれ防止のために腟に入れるタンポンなど初めて目にした参加者も多くいました。普段アメリカで過ごす髙橋の経験も交えながら、大盛り上がりの時間となりました。

3.女性の健康課題(更年期など)を取り巻く社会課題について
ーリーダーを想像したときの性別は?ー

後半は生理と社会がテーマです。
2024年の日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位で低迷が続いています。
中でも、生理については長年置き去りにされてきました。男性目線で作られたスポーツ上のルールや伝統により女性たちが十分なパフォーマンスが出せなかったり、生理用品はいまだに生活必需品とは認められておらず軽減税率の対象にもなっていません。

『女性社員が仕事でとても良い成果を出しました。社長から表彰され、全社員の前で、「よくやったね。素晴らしい」と称賛されました。』

この場合の社長の性別を問うと、参加者全員が「男性を想像した」と答えました。
“社長(リーダー)は男性である”と無意識に思ってしまうようなジェンダーバイアスが、まさにジェンダーギャップ指数としても現れているのではないでしょうか。
なぜ潜在的にそう思ってしまうのかを、歴史やニュースからも紐解きました。

4.生理と社会をテーマにディスカッション
〈現状0.9%の生理休暇の取得率を高めるにはどうしたらよいか〉という議題については以下のような意見が上がりました。
・生理休暇というものがあること自体知らなかった。認知させる必要がある。
・上司が異性だと申請しにくいから、同性に申し出るなどしくみを考えるべき。
・上司が生理休暇を使っていると取りやすいかも。
中でも一番多かったのが、
・「生理休暇」という名前を変えるべき。
という意見でした。
登壇した髙橋・中村からも、体調を理由に休みたいのは“女性の生理”に限らないから、「体調不良休暇」などと名前を変えて、性別関係なく誰でも取れるようにすればよいかもしれない、と考えをお伝えしました。

また、男女別で合否が決まる受験事情や、一部の理系大学で女子枠を導入し始めたことに対し〈男女の教育格差についてどう思うか〉という議題については以下のような意見が上がりました。
・どの学校も男子枠、女子枠を等しい人数で設定するのがフェアだと思う。
・(女子が少ない大学において)女子枠を導入することには賛成。学校という場の意味を考えた男女同数であるメリットはあると思う。そのため平均点が変わってしまうのは仕方ない。一方で同数に近づける努力は学校側がすべき。

これらの議題においては正解はありません。考える機会を持つこと、意見交換をすることが大切だと考えます。
今回のセミナーを通して、日頃から性やジェンダーについて考え、女性のウェルネスについて関心の高いyoi読者の皆さまとお話しできたことはGBAとしても充実した時間となりました。
参加者の皆さまにとって、生理の知識がアップデートされ、多様な人のあり方について理解を深めるきっかけになっていることを願っています。

■参加者のお声(セミナー後のアンケート回答一部抜粋)

〈本セミナーで一番興味深かったことを教えてください〉
・どれも興味深かったのですが、特に「生理休暇を世界で最も早く法的に導入したのが日本だったということ」と、また「海外の生理用ナプキンが経血量だけでなく体のサイズ別にパッケージ表示されていたこと」が記憶に残りました。
産休制度など日本の働く女性は(正社員であれば)手厚く保護されていると思うのですが、結局その制度を利用するのに心理的ハードルがある、環境が整っていない事が多いです。たとえ制度があっても、利用できないならばどうすべきかまでしっかり考えたいなと思いました。
また、日本の多様性という意識のなさを改めて実感しました。日本の生理用ナプキンには、経血量で軽い日用、多い日用などありますが、セミナーを受けて、経血量の個人差もかなりあると知り、その中で何を基準に/誰にとっての軽い日というのか、夜用というのかというのは考えないといけないと思いました。「生理には個人差がある」、この認識ですらまだまだ女性の間にも浸透しきっておらず、そこから変えていく必要がある、そのためにこのセミナーは意義深いものだと感じました。

〈生理に関する知識を学ぶ場(知る機会)は、特に誰に向けて必要だと思いますか?〉
・全世代の男女ですが、特に社会人男性には意識的に知る機会を提供すべきだと思います。
現代社会で働く年代の女性たちが生きやすくなるためには、職場の20〜50代男性、特に意思決定層に正しく知ってもらうことが重要だと思います。

・私たち大人が生理をタブー視しているのは、やはり子供の頃の教育のせいでもあると思うので、小中学生にセミナーをすることで、これからの人生で生理のタブーさが軽減されるだけでなく、次世代にもその認識が伝わり、今の流れを変えることができるのではないかと思います。
大人が生理を学ぶ場を作る場合、男性だけでなく、女性も受けるほうがいいと思います。そもそも女性の私たち自身が自分の生理を隠してしまっている状況では、男性だけに教えたところで意味がないと思います。

yoi読者の皆さまと「女性の健康課題をとりまく社会問題」をテーマにセミナーを開催でき、共に課題について考える時間を設けられ、まずは女性同士から意識的に変わっていかなければならないこともたくさんあることに気づかされるなど、大変実りある時間となりました。
GBAは、これからもGirls Be Ambitious の想いを乗せて、生理セミナーを続けてまいります。

■ウェブメディア「yoi」とは
2021年9月にローンチした、 心・体・性のウェルネスを提案する集英社のウェブメディアです。媒体名である「yoi」の意味は「わたし(i)」と「あなた(you)」の間に 「わたしたちの(our)」社会がある、というコンセプト。 誰もがお互いの心・体・性を大切にし、 「わたしたち」として認めあう 社会の実現を目指しています。「yoi」には心と体の悩みを扱う記事や 性の疑問を解決する記事、 最新のフェムテック情報が豊富です。また、読者はSDGsをはじめ社会的な問題への興味関心の高さも特徴的です。